個別ケース紹介

築60年 親子三代の家

福岡市中央区 N邸

 

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オーナーの祖父が、太平洋戦争終結後、朝鮮半島から引き上げて来て建てた家。
祖父が亡くなり、祖母が入所して、10年以上空家だったこの家。子どもの頃、この家で祖父母と同居していたオーナーのお孫さんからご相談を受けました。
ご健在の祖母の思いを大切にし、「この状態のこの家に改築して住みたいが可能か?」というのが前提条件。それから「この家を改築する場合と新築する場合、耐久性や費用面の意見が欲しい」、また「売買・賃貸した場合の相続問題や法律的な課題は?」という相談に、当団体の弁護士・税理士・建築士などの専門家たちが対応しました。

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昭和26年に建てられ、築60年以上経つこの家。内装の一部取り外し、インスペクションを実施してみると、戦後すぐには珍しい鉄筋コンクリートブロック造であることが判明。その上、天井の雨漏りや目立った亀裂も見られず、改築に問題がないとの建築士の判断が出たため、オーナーの願いが叶って、外構はそのままに内装のみのリノベーションが行われました。

溜まっていた不要品の処分と遺品の整理を行い、おもいでの詰まった古家再生のリノベーション作業を開始。

外観の古い洋館のスタイルを活かし、内装は木や漆喰・和の建具をふんだんに使った和モダンのテイストを出し、まず新築では表現できない古家とモダンがうまく溶け合った素敵なリノベーションが完成。オーナーやその友人も、漆喰塗りや床仕上げ油塗りに参加するワークショップ式のリノベーションを採用、また、空家の間の10余年で伸び放題だった庭木の剪定や庭の整備も、専門家のアドバイスの下、オーナーとスタッフで行いました。結果的に、改築費用の大幅なコストダウンもでき、古家空家の活用としては最高の形となりました。

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「子供たちが大人になる頃には、築100年、親子4代の家になりますね」

満面の笑みでそう語るオーナーの後ろで、生まれ変わった古家もとても喜んでいるように見えます。